オーナーネイリストの素質
ネイリストとして活躍するなら、常に技術の向上を心がけなければなりません。 次々と生み出される流行に取り残されないよう、デザインのセンスも磨く必要があります。また、それと同じぐらい現場で必要とされるのが、接客能力です。
お客様はケアと同時に、ネイリストとの会話やじぶんがリラックスできる雰囲気を求めてネイルサロンを訪れるので、リピーターを獲得するためには絶対欠かせない要素です。
オーナーネイリストには経営の知識と実務能力が求められます。
具体的なビジネスプランの策定、経理処理、人事管理などをきちんと行っていく姿勢が必要とされます。
技術
スクールで修得したスキルだけでは、時代遅れになる危険性があります。
メーカー主催のセミナーや有名ネイリストのデモンストレーションなどに足を運び、スキルアップの努力を怠らないことです。
接客能力
お客様のご希望を的確につかみ、サロンにいる時間を気持ちよくすごしていただくために配慮と努力は必須。いくら技術に優れていても、接客態度が悪いとリピーターはつきません。
経営の知識と実務
サロン運営のためのビジネスプラン作り、日々の売上と利益を把握する経理処理、スタッフのシフト組みやモチベーション維持など、予想以上に手間と時間を取られることを覚悟しましょう。
センス
ファッション誌などこまめに目を通し、何が流行しているのか、いつもアンテナを立てておくことです。
ファッションや絵画など、他分野にも興味をもち、積極的にデザインセンスを磨きましょう。
ネイルサロンのコンセプト
ネイルサロンを開業するにあたって、最初に考えなければならないことが、コンセプトです。
開業準備にあたる方には、さまざまな意思決定をする場面が待ち受けていますが、お店のコンセプトが明確であれば、スムーズに対処できるはずです。難しく考えず、自分のやりたいサロンを漠然とイメージしてみることから始めてはどうでしょう。
商売の8要素「6W2H」にそって最初の一歩を踏み出して見ましょう。
cWhy? なぜネイルサロンを始めるの?
そもそもなぜネイルサロンをやりたいのか、気持ちを整理することです。
その気持ちが明確なほど、何事もスムーズにいきます。
Where? どんな場所でサロンを開きたいの?
サロンの雰囲気を重視するなら、サロンをやりたい街や場所は大切です。
When? いつからはじめるの?
開店に向けてのスケジュールは具体的な日付けを決めてからスタートさせましょう。
大きい項目ごとにいつまで、何をと目安を設定しましょう。
What? どんなメニューをラインナップするの?
メニュー豊富なネイルサロンにするのか、特化したメニューで勝負するのか。
施術のラインナップを考えましょう。
Whom? どんなお客様に来ていただきたいのか?
若い人が気軽に入れる店なのか、30~40代の主婦層がメインなのか来店してほしい客層を絞ればサロンの雰囲気も決まってきます。
Who? 自分ひとりでやるのか、誰かとやるのか?
あなたが経営者であればできることは限られます。何を誰がするのか、何人必要なのか考えましょう。
How to? サロンをどんな風にやっていきたいの?
看板メニューがある店は繁盛すると一般的にいわれます。
自分の店のセールスポイントを考えて、具体的にアピールできるようにしたいものです。
How much? サロンの開業資金は?
出店環境や規模などで異なりますが、かいぎょうしきんは必要です。
試算はもちろん、その調達方法を具体的に検討することが重要。
ネイルサロンに勤め技術を磨く
ネイルスクール卒業後、すぐにネイルサロン経営に着手する人もいますが、まずはネイルサロンに勤め、実績を積んでから開業を考えるのが一般的です。実際にお客様を目の前にしての施術では、スクールで学べない経験をたくさん積むことができます。特に接客技術は経験の積み重ねが重要。
理屈でははかれないお客様の心理を読み取ったり、隠れた要望を引き出して売上げアップにつながるテクニックは、一流を目指すならぜひ身につけたいものです。
また、長く勤務して店長を任された場合は、経理面や人事面などの経営実務もこなすことになり、将来のネイルサロン開業に向けて、またとないトレーニングになります。
仕入先や内装業者、広告制作業者、将来のサロンスタッフの人脈も作ることができ、開業時のもろもろの作業がスムーズにできます。ネイルサロン勤務は開業までの大切な準備期間ともいえます。
ネイルスクールに通う
ネイルスクールにはさまざまな規模のものがあり、今後の飛躍に結びつけるためには、どのスクールに通うか慎重に選ぶ必要があります。初心者向けコースからプロ養成コースまでスクールにより独自に設定されていますので自分が学びたい内容かどうかを確認しましょう。
そのためには事前に説明会や体験レッスンを受け、自分の目で信頼できるスクールか確かめます。
スクールの場所や授業の時間帯、授業料に関しても、自分に合っているかどうか事前に検討しましょう。
授業は全日制、夜間コース以外に、好きな時に出席できるフリータイム制や、通信制で学べるスクールもあります。
スクールから開業後の仕入れ先を紹介してもらうパターンも少なくありません。
知識、技術にとどまらず、そこで出会った人間関係も大切にしましょう。
ネイルスクールのコースとカリキュラム例
ネイリストとして活躍するなら→プロフェッショナルコース
取得科目
●ベーシック科
●ニューアート科
●エクステンション科
●エアブラシ科
●ジェル科
●フットケア科
●ビジネスワーク科
ネイルアート全般を学びたいなら→ファンタジアコース
修得科目
●ベーシック科
●ジェル科(ソークオフ)科
●ニューアート科
限られた時間の中でネイルの基礎を学ぶなら→通信教育コース
修得科目
●ベーシック科
●ニューアート科
●エクステンション科
●エアブラシ科
スクールから広がる就職先
【スクール講師】
規定のコースを卒業していることが条件ですが、卒業後に母校で講師として働くケースもあります。
実際にスクール講師とサロン業務を並行して行っているネイリストも多数います。
【サロン勤務】
系列サロンを持つスクールの場合、成績優秀な卒業生に優先的に就職先を斡旋する場合もあります。
就職先紹介の実績はしっかり確認を。
ネイルセミナーを利用する
ネイルサロン開業後も常に新しい技術を学び、新メニューを取り入れていく姿勢がないとネイルサロン経営は長続きしません。
ネイル業界の動きに常に敏感に対応するために、セミナーを利用します。
たとえば、メーカー主催のセミナーは新製品や新技術の宣伝も兼ねていますので、新メニューの開拓に役立ちます。
また、おおきなイベントの一環として開催されるセミナーでは、一流ネイリストの実技やメーカーによる最新製品のデモンストレーションなどが短期間に集中的に開催されます。
業界の流行がつかみやすく、自分のレベルや学びたい方向性に合ったものを選べるのでどんどん利用するといいでしょう。
こうしたイベントの情報をいち早くキャッチするためにも、ネイル関係の専門誌やポータルサイトをこまめにチェックし、ネイリスト仲間との情報交換を心がけておく必要があります。
セミナーの種類
●メーカー主催の商品系セミナー
●ネイリスト団体やイベントで開催される技術系セミナー
●イベントや自治体で開催される開業・経営系セミナー
単独セミナーに参加する
ネイリスト団体やメーカー、ネイルスクールなどの主催で開かれる単発のセミナーは、最近では地方都市でも開催される機会が増えています。
自分に不足している技術などをピンポイントで学べ、場合によってはメーカーとのつながりもできるため、自分のサロンに合う仕入れ先を探す手がかりにもなります。
メリット1
単発セミナーは1時間程度のものから数日にわたるものまであり、内容も素人向けから プロ向けまでさまざま。
自分の予定や学びたい内容に合わせて、積極的に参加しましょう。
メリット2
経営コンサルタント会社や税理士団体などが主催する開業支援セミナーも利用できます。
自治体の起業相談セミナーでは、公的融資制度の説明をレクチャーするものもあります。
メリット3
メーカー主催のセミナーでは、所定の受講時間と認定試験をクリアすればエデュケーター資格が与えられるものもあります。
仕入れ価格の割引きなどのメリットも。
イベントセミナーに参加する
「ネイル・エキスポ」や「アジア・ネイル・フェスティバル」など大規模イベントの一環として開催されるイベントセミナーは、短期間に集中的に受講できるのがメリット。
有名ネイリストのデモンストレーションやメーカーの最新製品の説明会に無料で参加でき、業界の最新情報を一気に手に入れるチャンスです。
メリット1
大きなイベントでは1時間程度のセミナーが1日に10~20コマ程度組まれていて、自分が受けたい講義をいくつでも無料で受講するとこができます。
メリット2
ふだん接する機会のない有名ネイリストのでデモンストレーションを見たり、作品説明を聞く機会があるのはイベントセミナーの魅力です。
メリット3
各メーカーが力を入れている新製品がデモンストレーションされるので、時代の流行を先取りでき、サロンでの新メニュー開発に役立ちます。
ネイル検定試験を受ける
日本のネイリスト資格は「美容師」のような国家試験ではありませんので、必ずしも義務づけられているものではありません。
しかし昨今のネイルサロンでは検定取得を必須としているところがほとんどで、何の資格もなしにネイリストとして活動するのは、むずかしいのが現状です。資格を持っているとネイルサロン開業時に物件を借りるときも、信用度が違ってきます。
ネイリストの試験は大きく分けてふたつ。
日本ネイリスト協会が主催するJNAネイリスト技能検定試験と、インターナショナル・ネイル・アソシエーションが主催するネイルスペシャリスト技能検定試験で、いずれも、春・秋の年2回、全国の都市で実施されます。
合格率を高めるには、事前に各地で行われる対策セミナーに参加すると効果的です。
試験内容は、サロンワークで必要になる技術が中心なので、開業後のためにも挑戦しておきましょう。
【JNAネイリスト技能検定試験】
NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)が実施している検定試験で、2007年末現在、約21万名の受検実績があります。筆記試験と実技試験で構成され、筆記試験のみ合格した場合次回に同級を受検する場合に限り、筆記試験が免除されます。
3級から順に受検するのがきまりです。
◆1級
トップレベルのネイリストに必要とされる総合的な技能と知識を検定するものです。
筆記試験とスカルプチュア、チップ&オーバーレイ、ミックスメディアアートの実技(150分)があります。
◆2級
サロンワークで通用するネイルケア、チップ&ラップ、カラーリング、ネイルアートを検定するもの。 筆記試験と前半35分、後半55分の実技があります。
◆3級
ネイリストの基礎をマスターしているか検定するもの。 筆記試験とネイルケア、カラーリングの実技(60分)があります。
しかし3級取得だけでは、ネイルサロンへの就職は難しいのが現状。
1級のさらに上位の試験として、ネイリスト育成のために必要な知識と技術が試される認定講師試験も行っています。
【I-NAIL-Aネイルスペシャリスト技能検定試験】
NPO法人・インターナショナル・ネイル・アソシエーションが実施している検定試験。
国際水準のネイルスペシャリストの育成を目的とします。
筆記試験と学科試験で構成され、学科または実技試験のうちどちらかに合格した受験生は次回試験時に合格科目が免除されます。
A級
理容・美容専門学校に在校する学生を対象としたもので、ベーシックなネイルの知識と技能を検定するもの。
PA級(初級)・AA級(中級)・AAA級(上級)
プロフェッショナルを対象にネイルの総合的な技能と知識を検定するもので、同じ内容の試験を受け、80点以上がAAA級、70点以上がAA級、60点以上がPA級と認定されます。
試験内容は、学科と実技(ネイルケア・スカルプチュア・チップ&ラップ・カラーリング)
プロのネイリストとして長く活動していくなら、コンペティションと呼ばれるコンクールに出場し自分の実力を広くアピールしましょう。
コンペティションでの順位は、ネイリストとしての技術力を客観的に測る基準となります。 自分のレベルを知るチャンスでもあります。
グランドチャンピオンとは、プロ部門の複数競技の総合得点で争われ、その大会で最も優れた技術を持つネイリストに与えられる称号。
ネイルケアとスカルプチュアの合計点で評価される方法が一般的です。
グランドチャンピオンになれば、雑誌からの依頼やセミナー講師などの仕事が増え、活動の幅がさらに広がります。
【日本のコンペティション】
開催規模や参加人数、部門分けや競技種目などは、各種コンペティションによってさまざまです
●INAネイル・コンペティション
●アメリカン・ネイル・カップ
●アジア・ネイル・フェスティバル
●ネイル・オリンピック
●インターナショナル・ネイル・エキスポ など
【海外コンペティション】
主にネイル先進国のアメリカや韓国で開かれるもので、日本からも毎年多くの参加者がエントリーします。
●ISSEロングビーチ・ネイル・コンペティション
●ラスベガス・ヘアー&ネイル・カンファレンス
●コリア・ネイル・デザイン・フェスティバル
●インターナショナル・ネイル・コンペティション な